ブルー・フィールド
俺の真摯な態度が通じたか、店長は一息ついて
「商品は返しておけ。今回だけは見逃してやる」
と言ってくれた。
とりあえず一安心だ。
会計を済ませ、固まったままのジャージ軍団へ近付く。
俺が戻ってきた意味が分からないんだろう、おどおどしている4人。
「盗った物があるなら返しておけ。んでそのまま店を出ろ」
俺の言葉に安堵したのか、4人とも表情が緩む。
ゴソゴソと4人がポケットから、菓子やらジュースやら……エロ本や避妊具まで?
まだイラネーだろ。
コンビニを出て、店内にいる店長から見える場所へ移動する。
「南中だろ? 何年生だ?」
別に説教する気はないから、雑談するだけだが、店内からは怒っていると見える様に、腕組みして、顔も造るが。
「あの、一年生です」
「じゃあ三年の板橋は知っているな。あいつとは昔馴染みだ」
板橋の名を聞いた途端、4人共、顔が引き攣る。
板橋は怒らせると手が付けられないほど恐くなる。
聞いた話では、不祥事を起こした同級生を殴りまくり、自分が停学寸前まで追い込まれた、とか。
殴られた同級生は、全治一ヶ月だったらしい。
発端が同級生にあるから、警察沙汰にならなかったらしいが。
半分犯罪者だぞ。
「板橋に告げ口する気はないから安心しろ。ただ、もちろんだが、二度とするなよ。次があったら、その時は助けないから」
4人共しょげ返りながらも、うんうん、と頷く。
「時間も無いし、俺はもう行かせてもらうが、よかったな?」
中学生達は潤んだ瞳で俺を見てくるが、野郎の潤んだ瞳なんざキモいだけだ。
ので、とっとと待ち合わせ場所に向かった。