ブルー・フィールド
 
 いくら2人が付き合いだしたとはいえ、バスの中では2人にあーちゃんが加わるのは自然な流れ。

 なんだが、何故か今日は鮎川や西岡まで話に加わってきやがる。

「というか、話の広まり方が伝染病並に早くないか?」

 昨夜の内にあーちゃんに知れ渡るのは、2人の関係からすれば仕方ない。

「それはみんなで予想してたから。いつコクるかってね」

 鮎川は出番の無い裏側で、そんな事をしていたのか。

「まさか大会中とはね。私の予想の斜め上をいってたし」

 その斜め下になる、西岡の予想はいつだったんだろう?

「結局、当てたのは美樹ちゃんだけだったからね」

 何? 妹北田が当てた?

 本人すら予想していなかったのに?

「だから部長は機嫌良くないんだよ」

 だから部長のメールには、あんな顔文字が入っていたのか。部長の負けず嫌いは、基準がわからん。

「あの後にそんな面白い展開があるなら、着いていくべきだったわ」

 いくらあーちゃんでも、そんな場面に立ち会わせる訳無いだろ。

「けど、せっかく私と美樹ちゃんでいろいろ考えてあげてたのに」

 あーちゃん達が何を?

「ほら、今度の海。あそこでね」

 ああ、最近追求が緩いと思っていたら、そんな計画を立てていたのか。

「それより。由美を泣かしたら絶対許さないんだから!」

 女の友情ってのは怖い。

「安心しろ。俺には女の子を泣かせる趣味は無いから大丈夫だ」

「それって趣味の問題?」

 一部フェチにはそんな趣味の奴もいるんだろう、知らないけど。


 そんな会話をしながら、バスは県営プールに到着した。

 昨日同様、夏らしい青空ときつい日差し。

「浅野君、行こ」

「ああ。今日はやる気度MAX%だからな」

「相変わらず言い方おかしいけど、とりあえず頑張ろうね」

「言い方といえば、何故由美は呼び方が戻ったのか不思議だが」

 多分、皆の前では恥ずかしいからだとは理解できるが。

「あ! そうだった。忘れてた」

 ……忘れるものなのか?
 
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