ブルー・フィールド
そんなこんなで歓迎会も終わり、帰路に着く。
一年と二年の部員は半分が電車通学だから一緒に帰ることに。
「でも楽しそうな部だよね」
特に意識しているわけではないが、なぜか寺尾の隣で歩く。
「ん、そだな。先輩たちも面白そうだし」
中学時代は先輩たちの中にも派閥みたいなのがあって、一、二年の時は苦労したが。
ここは人数も少ないし、そういうこともなさそうだ。
「ところで寺尾達はどこで降りるんだ?」
俺の降りるのは終点だが、中央中学だと?
「終点まで行っちゃうよ。そこから一駅戻るけど、特急で終点行って戻った方が早いしね」
寺尾の向こう側にいるあーちゃんが説明してくれた。
「村山君は?」
俺と村山は昨日までは部に顔を出しても先に帰っていたから、寺尾達とは一緒に帰っていない。
「あいつは途中の田上駅。だから特急に乗ると途中で乗り換えだな」
瀬戸先輩の鞄持ちをさせられている村山。
多分家まで運ぶんだろう。可哀想に。
特急電車がやってきて、皆でぞろぞろ乗り込む。
昨日までなら俺と村山が2人掛けに座っていたが、村山は瀬戸先輩に捕縛されている。
「浅野君、ここ座りなよ」
寺尾が隣の席を薦めてきた。
成る程、あーちゃんは瀬戸先輩達の方で、4人掛けの椅子に座っているわけね。
「じゃあ遠慮なく」
女の子と座るのは初めてだが、特に意識してない振りを装う。
うーん、村山や木田と座ると窮屈な席も、寺尾と座ると割かし余裕があるのが、残念といえば残念。
「ねえ。中学の皆はどうしてるの?」
寺尾が俺を隣に座らせたのは昔話をしたいからか。
「ん、っと。女子?男子?」
ここで男子の話、といわれたら無視してやる。
「えとね、男の子はあんまり覚えてないから……」
よし、合格。それなら知っている限り教えてやろう。