ブルー・フィールド
 
 昔話に花を咲かせていると、前に座っていた北田兄妹がひょいと顔を覗かせてきた。

「この後、瀬戸の家で二次会あるけど、くるだろ?」

 二次会? しかも瀬戸先輩の自宅で?

「えーと、私はいいですけど」

 寺尾がそう言うと

「なら浅野君も決定だね」

と妹北田が言ってくる。

 なら、というのが意味不明だが、まあ断る理由は無い。

「でも二次会っても半分しかいないですよ」

 一年生は俺と村山、寺尾にあーちゃんと妹北田。

 二年生も瀬戸、三村、兄北田、井上の各先輩。

「大丈夫、盛り上がればいいんだから」

とスポーツマンスマイルの北田先輩。

 すがすがしすぎてちょっと怪しい。


 瀬戸先輩の家の前……

 うん、確かにこの地方は地主が多いから、純和風家屋の大型住宅は多いものの、さすがにこれはやりすぎだろ。

 巨人族専用とも思える大きな門、その脇に一般住宅についてるような小さな門がある。

 まあ衛兵がいないのがゾルディック家との違いではあるが。

「ゾルディック家ってどこ?」

 寺尾に聞かれたが、それは冨樫先生に聞いてくれ。

「ただいま」

 瀬戸先輩が通用門から入っていくが、それならこの大きな門は一体何のためにつけられてるのか不思議な所だ。

「はい、早く入って」

 瀬戸先輩に手招きされて順に入っていく。

「まだ桜が散ってないんだな。さすが瀬戸ん家だ」

 兄北田の言葉に視線を先に延ばすと、ほうほう、桜並木ですか、立派な公園ですこと。

 桜並木の下でなにやらせわしく動いている人達がいますが。
 
「早く、早く」

 瀬戸先輩が急かすので、早足で桜並木の下までくると

「ってか先輩?これは?」

 桜並木の下に敷かれているのはブルーシート。

 それは分かる、道路直じゃ汚れるからね。

 問題はその上にある、重箱に詰められた色とりどりの料理の間に、麒麟さんやら朝陽さんやらが……。

「夜の宴会といえば欠かせないでしょ!」

 それはそれで正論だが、高校生でも正論でいいのか?
 
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