ブルー・フィールド
 
 と、スタートと同時にキツイ。

 練習の時からだが、やはり1400m以上泳いでからのノーブレはキツイ。

 県予選の時みたいに、完泳目的のペースならまだしも、ハイスパートできているレースでは、やはり体力のもち具合が違うな。

 それでも、最低1位は確保しないと、入賞の期待も無い。

 何とか持ちこたえて、ラスト5mラインが見えてきた。

 と同時に、鐘の音が聞こえる……?

 え? 鐘が鳴る? それってつまり、ラスト100mの鐘?

 マジか!

 よくよく考えてみれば、たしかにさっきのターンでは鐘の音が無かった。

 クソッ! またやっちまったらしい。

 とりあえずターンをしておかないと、とホントの1400mクイックターン。

 ヤバい。今のラストスパートノーブレで体力は使い果たしたぞ。

 これからまだ100mも泳げとは、酷いじゃないか。

 よくよく読み直せば、900mターンが無い。

 あそこで数え間違いしていたとは、理系としては初歩的なミスだ。

 それを嘆いても今は意味が無い。

 ここは5コースに抜かれないように、踏ん張るだけだが。

 ラスト100mもあるから、当然ノーブレは解禁している。

 息継ぎは2掻きに1回が精一杯だが、利き手の右手側ではなく、5コースを見る為の左側で息継ぎをする。

 ノーブレスパートが効いたのか、5コースは身体1つ半は後ろかな。

 けどあと100mもたなければ意味は無いから、必死に踏ん張る。

 キツイ、体力は限界突破寸前。

 とりあえずの1425mラインは、まだ5コースをリードしているが、多少は差が縮まったように感じる。

 被害妄想だといいんだが、生憎、俺には妄想癖が無いはずだから、現実なんだろう。

 何とか踏ん張りながら、1450mターンに到達。

 タイミングはほぼ一緒か。

 ならば潜水のベストタイミングを、と考える間もなく浮上。

 だって、苦しいんだもん。
 
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