ブルー・フィールド
 
 無理して残り50mのペースを落とすより、早目の浮上を選ぶのはベストな選択なはず。

 5コースはどうだ? と見ると、あちらも決して楽な状態ではないのか、追い上げてきたが追いつけない状況かな。

 しかし、この状態では、いくら組1位を取っても、ブッチギリタイムは出ないか。

 5コースが仮にベストペースで泳いでいても、17分後半のタイム。

 俺が組1位を取っても、今のままなら、17分30秒以降だろう。

 入賞は諦めるしかないか。

 しかし、せめてもの反抗、とはいえ、夜の校舎で窓ガラスを割りまくる産業廃棄物な犯行はしないが、組1位だけは取ってやる。

 僅かなリードを保ったまま、1475m通過。

 スマンが再度ノーブレスパートなんて掛けられないぞ。

 せめて薬草かポーションがあれば、と思うが、泳ぎながらは食べたり飲んだりできないから無意味だと諦める。

 ならそんな妄想するな、俺。

 と妄想している間に1490m付近に到達か。

 未だに5コースの姿が視界にある、という事は、ラストのラストスパートを掛けられたら、抜かれる可能性もある。

 ええい! こうなりゃヤケだ!

 残り10mくらいなら、ノーブレしてやる!

 10mくらいなら時間にして、えーと、100mを70秒くらいなら10mは7秒くらいか。

 それなら我慢でき……あれ?

 考えていたらゴールしちゃったっぽい。


 しかし、今回もよく疲れたか。

 水中とはいえ立っていられないくらいだが。

 ふと見ると、6コースがまだ泳いでいるから、まだプールから上がるように急かされていない。

 とりあえず電光掲示板に目をやり、順位を確かめる。

『1着 3コース 16:35:53』

『2着 5コース 16:38:29』

『3着 4コース 17:00:47』

 ……あれ? 計測器の故障かな?
 
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