ブルー・フィールド
 
 レースの方は6選手が1200mターンを続々と決めていく。

 6人共タイム的には13分台でのターンだから、相当早いペースだな。

 ……というか、1500mとか、普段気にしてなかったから、タイムペースが分からない。

 高校生の記録が15分ちょっとくらいのはずだから、100m平均なら1分1〜2秒だろう。

 1分5秒平均で泳いで16分15秒。

 1200mまで13分なら、1分5秒平均だから、そんなもんかな。

 もちろん、平均タイムで泳げる訳はないから、最初は1分2〜3秒で泳ぎ始めてるだろうし、この後の300mは1分5〜7秒に落ちるだろうが、それでも3分15〜21秒。

 1200mを13分30秒できていても、16分45秒……あれ?

「このままいくとひろくん入賞だよ!」

 由美は喜んでいるが、何かおかしくないか?

 一夜漬けとまでは言わないが、長距離練習を始めてまだ一ヶ月半。

 市大会とは言え、入賞ラインに入る訳がないだろ。


 そんな計算通りにいくかいかないか、レースは1300mを過ぎた。

 最後尾、6位のタイムは14分47秒。

 残り200mを55秒平均で泳いでも、俺のタイムには2秒届かない。

「もしかして、ホントに入賞しちゃうね!」

 由美と2人で見ていたはずが、周りに部員が集まり始めた。

 こういうの、慣れてないから恥ずかしい。

 ので。

「あ。俺、昼メシまだだから、食ってくるわ」

「ダメだよ〜ちゃんと最後までみなきゃ〜」

 由美に諭され、皆からは、今更恥ずかしがるな的に見られ、立ち上がる事を許してもらえない。

 1400mターン、5位の選手でも、タイムは15分43秒。6位は15分56秒。

 入賞確定と言っても過言ではないが。

 そりゃ中学時代から何度か入賞はしているけど、こんな皆に見守られながらなんてケースは初めてだし。

 何とかここを抜け出したい。
 
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