ブルー・フィールド

　
『位置について

よーい

パーン！』

　いよいよ決勝レースがスタートした。

　８人とも綺麗なスタートで、出遅れた選手はいない。

　徐々に潜水から浮上してくるが……さすがに決勝レースで皆気合いが入っているんだろう、ここまではほぼ同時だ。

　当然、この後は、ピラミッド型のレース展開になるだろうが。

　と、予想通り４コースが少し前に出たか。

　しかし、次に上がってきたのが６コース、続いて５コース、７コース、２コース、３コース、８コースの由美に１コースの順か。

「寺尾さん、スタートダッシュは大丈夫だったみたいね」

　部長が少しホッとしたように呟く。

　緊張でスタートミスをしないか、心配していたんだろう。

　それじゃなくても、一度、予選で体力を使い果たしているんだし、心配しない方がおかしいか。

　２５ｍラインを通過、やはり予選の組やタイムは伊達ではないんだろう。

　由美と１コースは多少遅れ気味で、ほぼ横並びの２コースと３コースに頭一つリードされたか。

　４、６、５と続くトップ集団とは、身体１／３くらい差をつけられている。

　市大会とはいえ、トップ選手のタイムが悪くなる訳でもなく、上位選手の数が少なくなるだけの事。

　つまり、決勝進出はしやすいが、決勝メンバー内での力・タイムの差が大きくなるという事になる。

　ただ今回は、予選タイムは拮抗していて、由美にも可能性が有ると思っていたが。

　５０ｍターン、続々とターンをしていくが、やはり決勝メンバー、ミスは無い。

　ベストタイミングと普通のタイミングでの差はあるが、大きく差を詰めるまではいかない。

「ラップはどう？」

　タイムを取っている、あーちゃんに聞いてみる。

「予選よりは速いけど、どうかな？」

「どうかな？　って何が？」

「予選は前半抑えたから、後半追い上げたんでしょ。このペースでいくと後半落ちるかもね」

　そう言えばそうだったな。後半に多少の余力を残せたから、２００ｍをいい配分で泳げたんだった。