ブルー・フィールド
 
 75mラインを通過する頃、4、6、5コースは飛び出した5コースを先頭にトップ集団を維持。

 身体半分遅れた7コースは単独4位で、そこから身体半分離れて2コース。

 頭一つ遅れた3コースが、由美を頭一つ引き離す。

 さらにわずかな差で1コースが続いている。

 現状は7位だが、全体的にペースの落ちている選手がいないから、上を望むより、下をどうするか、を考える状況か。


 変わらず進んだ100mターン。

 3コースがわずかに遅れたか?

「ラップは1分8秒65ね。アベレージタイムできてるけど」

 あーちゃんが語尾を濁す意味は分かる。

 予選は後半への余力を残す為に前半のラップが落ちた。

 今はいつもと変わらないラップなら、後半のタイムもいつもと変わらない可能性が高い。

 それでも遅れ始めた3コースに追いついたか、横並びに見える。

 ただ、それは1コースも同じで、このままいけば3人での入賞争いになるか。

 そのまま接近戦でいくのか、と思っていたが、125m過ぎから、由美がスパートをかけたか?

 140m付近で、少し前に出たようだが。

 そのまま150mターンに入る。

 ターンに入るタイミングは3コースより早い。

 ただ、1コースも追い上げてきたのか、ターンに入るタイミングは由美と同じだ。

「1コース、なかなかやるわね」

「あー! 由美ちゃん、頑張れ!」

「早く、早く!」

「あと一息! 踏ん張れ!」

 レース前には入賞を期待する言葉を言いながら、実際、心の中では、入賞までは、と思っていたであろう皆も、現状を見て、入賞へとまた気持ちが傾いたか。

 前半とは変わり、通り一辺倒の声援から、力の入った、踏ん張る様な応援になっている。

 ただ、1コースは由美から一番離れているだけに、本人達は気付いていないだろう。

 175mラインを通過した。

 3コースは完全に遅れ始め、由美からの差は身体半分まで開いた。

 1コースとの入賞争い、一騎打ち、だな。
 
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