ブルー・フィールド
祝勝会
打ち上げ。
この近辺の高校が部活の大会で打ち上げをする、といえば、駅前のマックを始めとするファーストフード店で、バーガーとポテトで盛り上がる。
がしかし、我が羽鳥高校は違う。
一昨年まではまだしも、昨年、瀬戸先輩が入部したからか、打ち上げ=瀬戸家での宴会、に様変わりしたらしい。
実際のところ、駅前には他校の水泳部員が溢れているから、場所の確保が難しい、といった理由もあるが。
だからと言って、シェイクの渦が、ビールの泡に変わる理由にはならない気がするけど。
「さ、早く座りなよ、二人並んで並んで」
瀬戸先輩に命令され、俺と由美は隣同士に。
つか、言われなくても、普段から並んで座っていたけどね。
状況が変わったから、何となく気恥ずかしくなっただけのことだ。
「ね、ひろくん」
由美も気恥ずかしいのか、ちょっと頬が紅いかな?
「なんか、お雛様みたいだね」
……恥ずかしくはないみたいだが、その例えはどうよ?
「しかし、メガネをかけた女雛というのも、ある筋には人気が出そうだな」
「ひろくんはそっちにも興味有るの?」
にも?
「美少女フィギュアは村山と高橋が担当だ。俺は現実世界にしか興味は無い」
「私以外もって事?」
……揚げ足取りですか?
「すまんが、今本音を言うと、隣で聞き耳を立てているあーちゃんに、格好のネタを提供するだけだから、自重させてくれ」
「あ、バレてた?」
まったく。盗み聞きとは趣味の悪い事で。
「それじゃあ皆、いき渡ったかな?」
伊藤部長がジョッキ片手に立ち上がる。
ちなみに全員が全員、酒を飲む訳ではない。
歓迎会のメンバーでも、三村先輩はあれ以来飲まないし、妹北田も自粛中らしい。
先輩の中でも、伊藤、立花、近藤先輩は飲まないし、一年生も高橋、鮎川は無理らしい。
ので、部長のジョッキの中味はナミナミと注がれたコーラ。
「それじゃあ、浅野君と寺尾さんの入賞と、これからの幸せを記念して、カンパーイ!」
だから! くそ恥ずかしいじゃないか!