ブルー・フィールド
 
「けど、先輩もそんなに綺麗なんだから、相手は選り取り見取りじゃないんですか?」

『ヌギュギュギュ〜〜』

「イタタタタッ!由美、つねっちゃダメ」

「だって、ひろくん……」

 なんだ? やきもちか?

「仲が良いわね、羨ましいくらいに」

 先輩は呆れたように言ってくるが。

「けど先輩もそんなに綺麗……」

『ヌギュギュギュギュギュギュギュ〜〜〜』

「あだだだだ! だから、痛いからつねっちゃダメだって」

「だってだってひろくんが……」

 酔っ払いが拗ねるとDVになるのか?

「心配するな、三村先輩は綺麗だが俺の好みの対象外だから」

「それって褒められてるのかどうか、微妙な感じね」

「褒めて落とすのがボケの基本ですから」

 ってなんか先輩の視線が、痛々しい子を見るような視線になっているのは、うん、仕方ないな。

「んでもって彼氏とかいないんですか?」

 とりあえず前半部分を省略すれば大丈夫だろ。

「そうね。言い寄ってくる男は多いわよ。相手にする気もないけど」

 そう言ってにっこりと微笑む。

 のはいいが、笑顔の意味が分かりませんが。

「あれですよね、井上先輩とは仲が良いじゃないですか」

 幼馴染とは聞いているが、それだけではない感じだけど。

「それはね。17年も生きていればそれなりに仲良くなるわよ」

 そう言って、また物思いにふける先輩。

 なんだかよく分からない感じだ。


「浅野君、ちょっと由美借りるからね」

 あーちゃんが酔い潰れ気味な由美を連れていった。

 これがホントのレンタル彼女?

「なんや。寺尾連れてかれてまったな」

 冷酒を持った井上先輩が隣にやってきた。

 井上先輩は「とりあえずビール!」はするが、その後はポン酒になる。

 瀬戸家の銘柄なんだが、これがまたなかなかの味で。

 冷やでも熱燗でも味が深く飲みやすい。

 けど飲み過ぎると、反動が怖いけどね。
 
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