ブルー・フィールド
兄北田はどうするか、とばかりに頭を掻きながら迷っている。
「別に言えないんなら無理に聞こうとは思わないんで、いいですよ」
「そうだな。あれはあれでちょっと第三者の俺から言う事じゃないからな。そうしてくれるか」
そう言うと、またいつもの爽やか過ぎて逆に怪しいスポーツマンスマイルを見せる。
「俺達は伏屋を止められなかった、下中を助けられなかった事を悔いているが、まあ浅野と寺尾なら、見てて大丈夫だろうから安心はしている。ただ、女の子は泣かせるもんじゃない。泣かせないように守るもんだからな」
……兄北田からこんなまともな言葉がでるとは。
明日は台風上陸か?
「そろそろ寝るか。浅野も今日は疲れただろうからな」
そうして瀬戸屋敷へと向かった。
屋敷に着くと、相変わらず着物を着た母瀬戸が迎えてくれ、寝室へと案内される。
「浅野、君。どうした、の?」
酒を飲んでないからか、高橋はまだ起きている。
「ん、いやな。釘を刺されただけの事だ」
「浅野はエロゲー展開が好きそうだから、寺尾が逃げない様に、ってな」
言うなって言われたから濁したのに、その言い種かよ!
「って言うか、そう言えば、北田先輩の部屋にはエロ本が散乱してるらしいじゃないですか」
予期せぬ反撃に、兄北田は鳩豆ヅラで驚いている。
「妹が怯えていましたよ。妹萌えのエロ本ばかりで、いつか襲われるんじゃないかって」
当然ネタだが、知らない高橋は兄北田を白い目で見る。
「バカヤロー! 俺は年上のお姉さん派だぞ。妹萌えなんか買うか!」
いや、そんな事を大声でカミングアウトしなくてもいいし。
「先輩、皆寝てますから、静かにしましょ」