ブルー・フィールド
体育の補修であったり、午前の補修・補講を終え、涼みがてらに泳ごうという生徒達だ。
「じゃあ北田君と飯島さん、よろしくね」
部長が監視員役の二人に声をかけ、他の部員はぞろぞろと部室へと戻っていく。
と、1年1組の何人かの姿も見える。
「あれ? 馬場じゃないか」
馬場以外にも、名無しの同級生が何人かいる。
「おう。泳ぎにきてやったぞ」
「別に頼んでいないから、とっとと帰れ」
「んなこと言うなよ。せっかく来てやったのに」
だから、恩着せがましく言われる筋合いはない。
「どうせ女子の水着姿が目当てなんだろ? プールが汚れる前に帰れ」
「大丈夫。水中では何もしないから」
いや、そもそも何をする気だったんだ?
「それにしても寺尾の水着姿ってのもそそるよなあ」
「そういう目で見るなら、マジの鉄拳をお見舞いするが?」
「ああ、すまんすまん、そうだな」
まったく。見世物じゃないんだから。
「で? 馬場は泳げるのか?」
「おま、体育の時間に見てたろ?」
……。
「いや、俺らはいつもお手本役してるから、そこまで見てないし」
実際に体育の50分間は、ほぼ泳ぎ続けているようなものか。
体育教師の西尾先生は、なぜか水着に着替えてこない。
で、一般生徒にお手本を見せるのは俺や村山、女子なら由美といった水泳部ばかり。
特に俺の場合は目を掛けられているのか付けつけられているのか、やたらと泳がされている。
「お前ら程じゃないにしろ、一応はな」
「そうか。じゃあ何で補習組になったんだ?」
馬場はバトミントン部で、昼からは部活のはずだが。
「期末で赤点取ってな。呼ばれたんだわ」
保健の筆記試験が赤点だったのか。
「そうか。お前の詳しいのは、幼女の保健だしな」
ロリコン変態だし。
「バカ野郎! 俺はロリな女子高生が好みなんだよ!」
そんな事大声で言うなよ。女子生徒が引いているじゃないか。