ブルー・フィールド
 
 先生が泳ぎ終える頃、リレーの練習も終え、今日一日の練習が終わりとなる。

「じゃあ今日はこの辺にしておこうか」

 クールダウンを終えてプールサイドに雑然と並ぶ部員に、兄北田が声をかけた。

「お疲れ様でした!」

 そう言って、スポーツマンの基本だろう、みんなでプールに一礼。

 それぞれ部室へ歩いていくが、普段より濃密な練習のせいか、雑談も少ない。


 帰りの電車、俺、由美、あーちゃんの3人衆に妹北田が加わり、週末の話が始まった。

「ところで浅野君はどんな水着を着てくるの?」

「逆にあーちゃんに聞き返すが、海で競泳用パンツをはいている男と一緒にいられるか?」

 普通は恥ずかしくて無理だろ。

「だよね。さすがのヒロ君でも恥ずかしいよね」

 由美の俺の扱いが、最近変わってきたような気がするのは気のせいか?

「だよね~。浅野君だってパッツンパッツンしてるもんね」

 その言葉を妹北田にそっくりそのまま返してやりたい。

「俺の事はいいとして、3人はどうなんだ?」

 まさか競泳用やスクール水着じゃあるまい。

 ましてややばい趣味の馬場がいるんだ。スクール水着など以ての外なんだが。

「私達は土曜日に買いに行くからね。ヒロ君はどんな水着が好み?」

「由美、ダメよ。浅野君の好みに合わせたら、超極小ビキニとか言い出すから」

 あーちゃんの中での俺はどんどんエロい人になっていっているようだが?

「っていうか、そんな人前で着る物に、露出を求めるわけが無いだろ」

 ボッ!キュッ!ボン!の極上スタイルなら、見せびらかしてやりたい、と思う男もいるんだろうが、生憎俺は他の野郎どもに由美の水着姿を見せたくない。

 ん、決して見せびらかせないほどの体型ってことでもないんだが。

「まあ露出はあまりして欲しくないが、とりあえず、アニメキャラとかのプリント物は避けてくれると、著作権的にはありがたいと思うが」

 どう見てもロリ萌え系の由美が、らきってたり長門ってたりの絵の水着を着てると、存在が自主規制になりかねない。

「そんな~。ぷーさん水着にしようと思ってたのに」

・・・・・・由美の好みってどうなんだ?

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