ブルー・フィールド
切符を買い、改札を通ると、多分由美達の乗っている電車が到着する所だ。
連絡も無いから、乗り遅れたりはしてないだろう。
「おはよー」
予想通り、由美とあーちゃんが最後部の列車から降りてきた。
ん? そう言えばこの二人の私服は初めて見るか? だよな。
制服やジャージと違い、私服には個性が出るんだろうが。
由美は、まあおとなしく薄い青に白いラインが入ったシャツとデニムのショートパンツ。
あーちゃんは、こちらも薄い青だが、何やら模様の入ったTシャツに、下は膝丈のスカートか。
「どうしたの?」
「いや、二人の印象から、パンツとスカートが逆っぽいんだが」
「よく言われるけどね。由美は無防備だから、スカートよりパンツがいいと思ってね」
成る程、あーちゃんの仕切りですか。
と、隣の木田が少し怨めしそうにあーちゃんを睨んでる。
お前は妹北田見てりゃいいだろうに。
夏休みだからか、始発に近い時間なのに、ホームにはかなりの人がいる。
家族連れや学生同士であろう集団があちこちで輪を作っている。
「内海まで行くなら座りたいよな」
「そうね。美樹ちゃん達の席も確保しなきゃね」
「ならば、俺と由美、あーちゃんで4人席を取り、木田が2人席を取るか」
それが一番無難だろう。
「俺一人かよ」
ハブにされるのが嫌なのか、木田は少々不満顔だ。
「仕方ないだろ、少しの間だ。我慢しろ」
というか、一人で座るのが寂しいとか、男が言ってもキモいだけだ。
そもそも妹北田達との合流駅まで約5分だし、それくらいいいだろうに。