ブルー・フィールド
 
 座席に着き、荷物を網棚に上げる。

「ひろ君、お願い」

 ちびっ子由美&あーちゃんから頼まれ、二人のも、と。

「なんか荷物多くないか?」

 海に行くとはいっても日帰りだし、鞄一つで足りるだろうに。

「今日は二人でお昼のお弁当作ってきたからね」

 由美がにこやかに言ってきた。

「成る程。二人で、と言うのは安全なのか不安なのか、正直微妙なとこだが」

 由美だけならまたとんでも創作料理がありそうだが、食べる専門っぽいあーちゃんが作る料理もどうなんだか。

「大丈夫、私は由美にリクエストする係だったから」

 いや、それって二人で作ったって言わないし。

「もしかして俺達の分もあるの?」

 真後ろになる席から木田が身をのりだしながら聞いてくる。

「木田君た……」

「赤の他人に恵む分はないはずだが」

「浅野には聞いてねーよ!」


 その後妹北田と馬場を拾い、列車は一路内海まで向かう。

「ところで、木田北田のコンビ結成理由は分かったが、馬場は何で来ているんだ?」

 まさかあーちゃんと付き合う勇気はあるまい。

「んっと、この5人共通の知り合いだからってくらいかな」

「ちょっと待てよ。岬ちゃんと特別仲良しだから呼ばれたんじゃないの?」

 ん? なかなかにツッコミどころ満載な会話だが。

「馬場と木田や妹北田に接点があるのか?」

 先ずはそこが疑問点その1だな。

「ああ、バイト先が同じでな。浅野の知り合い同士って事でな」

 んな話し聞いてないし。

「成る程。で、馬場とあーちゃんは仲が良いのか?」

 まあ同じクラスだから、普段の接し方くらいは知ってるが、特別仲良しには見えないが。

「メル友だぜ。な!」

「男なのにテンプレ使ったりデコメ使ったり、見にくいメールばっかり送り付けてくるけどね」

 馬場はあーちゃんを攻略中なのか。

「由美は知ってたのか?」

「ぜんぜん知らなかった。仲良しなんだね」

 由美にも隠してたって事は、あーちゃんもまんざらでもない、か。
 
< 282 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop