ブルー・フィールド
座席に着き、荷物を網棚に上げる。
「ひろ君、お願い」
ちびっ子由美&あーちゃんから頼まれ、二人のも、と。
「なんか荷物多くないか?」
海に行くとはいっても日帰りだし、鞄一つで足りるだろうに。
「今日は二人でお昼のお弁当作ってきたからね」
由美がにこやかに言ってきた。
「成る程。二人で、と言うのは安全なのか不安なのか、正直微妙なとこだが」
由美だけならまたとんでも創作料理がありそうだが、食べる専門っぽいあーちゃんが作る料理もどうなんだか。
「大丈夫、私は由美にリクエストする係だったから」
いや、それって二人で作ったって言わないし。
「もしかして俺達の分もあるの?」
真後ろになる席から木田が身をのりだしながら聞いてくる。
「木田君た……」
「赤の他人に恵む分はないはずだが」
「浅野には聞いてねーよ!」
その後妹北田と馬場を拾い、列車は一路内海まで向かう。
「ところで、木田北田のコンビ結成理由は分かったが、馬場は何で来ているんだ?」
まさかあーちゃんと付き合う勇気はあるまい。
「んっと、この5人共通の知り合いだからってくらいかな」
「ちょっと待てよ。岬ちゃんと特別仲良しだから呼ばれたんじゃないの?」
ん? なかなかにツッコミどころ満載な会話だが。
「馬場と木田や妹北田に接点があるのか?」
先ずはそこが疑問点その1だな。
「ああ、バイト先が同じでな。浅野の知り合い同士って事でな」
んな話し聞いてないし。
「成る程。で、馬場とあーちゃんは仲が良いのか?」
まあ同じクラスだから、普段の接し方くらいは知ってるが、特別仲良しには見えないが。
「メル友だぜ。な!」
「男なのにテンプレ使ったりデコメ使ったり、見にくいメールばっかり送り付けてくるけどね」
馬場はあーちゃんを攻略中なのか。
「由美は知ってたのか?」
「ぜんぜん知らなかった。仲良しなんだね」
由美にも隠してたって事は、あーちゃんもまんざらでもない、か。