ブルー・フィールド
 
 それぞれ着替えが終わり、元気良く砂浜へ下りていく。

「あーちゃん達は浮き輪要らないのか?」

 マネージャー2人は、普段プールに入るとはいえ、まともに泳いでいる姿を見たことがない。

「別に泳がないから要らないわよ」

「そーそー。手前の方で水に浸かるだけだから」

 この2人は何しに海へ来たんだ?

「まあそれなら溺れる事もないだろうからいいが……」

と、思い出した。

「木田も泳げなかったよな?」

 一応、中学時代は体操部で真面目に部活動をしていただけあり、運動神経は悪くないが、水泳はダメだったはずだが。

「あ、俺は荷物番してるから」

 それならいいが、それならまた何でわざわざ水着を新調してまで海に来るんだか。


 砂浜でシートを広げ荷物を置いて、来てきたTシャツを脱ぐ。

 いくら水泳部員でも、海では競泳用水着は履かない、着ない。

 だからといって凝った水着を着る気はなく、普通に黒ベースのトランクスタイプだ。

 木田も馬場も似たような感じで、こういった所は常識人でありがたい。

「こういう所は、って限定すんな! 俺は歩く常識辞典って言われてんだぞ」

 どうやら馬場の頭脳は、世間の非常識を常識を変換するアダプターが付いているようだ。

「常識人なら、あーちゃんに手を出さないと思うが? な、非常識だから妹北田に手を出した木田君よ」

「そこで俺にふるか? つか、浅野も大概非常識だろ。貧乳ロリ眼鏡フェチとか」

「ちょっと待て! 眼鏡はまだしも、ロリはおかしいだろ。それに貧乳はフェチではなく、たまたまだ」

『ボカッ!』

「大声でくだらない事言っとるな!」

 痛ってえ〜。グーパンチは反則だろ、あーちゃん。

「ホント、あんた達3人揃うと、エロさが3倍どころか、3乗ね」

 妹北田のクセに上手い事言ったつもりか?

「そう言う2人こそ、井戸端おばちゃんの2乗じゃないか」

 ちなみに由美はそんなにひどくないから、3乗ではない。
 
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