ブルー・フィールド
しばらく雑談が続き、その間にゲリラ豪雨は過ぎ去っていった。
「そろそろ雨の心配はなさそうだが、まだ海へ行くか?」
もちろん、海水浴目的で着たわけだが、海水浴場ということは、それなりにお土産屋さんなどもあるということで。
男子連中はどうせ買っても木刀か竜の巻きついた剣のキーホルダーくらいだからいいが、女性陣はどうかな?
「あ! そういえば、ここのスイーツ、ほんっっっとに美味しいんだよ!」
はいはい、食べ物のことになると、あーちゃんはいつもの倍以上の大声になるよね。
「え~、それって何があるの?」
妹北田は知らないのか? 珍しい。食べ物のこと、特に甘いものなら何でも知っててそうだが。
「っていうか、美味しいって、食べたことあるんか?」
高校一年生が片道2時間かけて食べに来てるとは思えないが。
「だって、ここに書いてるし」
あーちゃんはそう言ってガイド誌を開いて見せてくれる。
食べたこともないのに、雑誌の記事を鵜呑みにするって。しっかり者にみえて、やっぱり食べ物には甘いな、スイーツだけに・・・うわ、こんなネタ考えるなんて、疲れてんのかな。
「で。どんなデザートがあるんだ?」
女子ならともかく、いくら流行の言い方、とはいえ、男子がスイーツとかいうのはどうも違和感、ってか、ぶっちゃけキモイ。
「んっとね、イチゴをのっけたガトーショコラが一押しなんだって。この辺、イチゴが取れるから」
ガトーと聞けば、0083しか思い浮かばない俺には、イチゴがのってようが、ショコラがのってようが、ガトーがのるのはGP2号機としか思いつかん。
「ってか、イチゴの季節終わってるし。年中食べられるイチゴなら、ここでなくてもよかろ」
と言っても誰も俺の言葉に耳を傾けるはずもない。
「私、イチゴ大好き!」
そうか、由美はイチゴ大好きか、ならイチゴのガトーショコラ食べよう、うん。