ブルー・フィールド
 
 というかガトーショコラとかこの面子で食べるのもどうなんだ?

 女性陣3人はまあいいだろうが、男性陣3人はそもそも場にそぐわない。

 だって、海パンの上に無地のTシャツ羽織ってるんだぜ。

 それでもイケメンといわれるレベルならまだしも、俺を除く二人は。

「ちょっとまてーい! 浅野がイケメンに属すなら、お、俺だって」

 木田が勢いよく、しかし最後にはちょっと自信なく異議申し立てしてくる。

「いやいや。それなら俺なんて岐阜の伊藤英明と呼ばれてるくらいだ。負けてないぞ」

 馬場よ、そもそも伊藤さんは岐阜出身だから。それなのに「岐阜の」とかおかしいだろ。

「つっても俺、あんまこういうデザート系って食わねえし」

 別に甘いものが嫌いなわけではないが、いろいろ飾り立ててあるスイーツといわれるものは、食べにくいのが一番のネックだ。

「ひろ君、苦手なの?」

 前を行くルンルンラーな由美が振り返って尋ねてくる。

「まあ一緒にいる分にはかまわんし、俺はコーヒーでもいただいとくよ」

 馬場はいいとして、木田を放置しておくと、俺の爆弾を落とされかねない。監視は必要だし。


 先ほどのゲリラ豪雨の影響であろうか、喫茶店部分にはかなりの客がいる。 

 店内には団体客を見込んでいるのであろう、大きめのテーブルがあり、ご都合主義的にそこに座っていた客が、ちょうど食べ終え、席と立つところだった。

「私の普段の行いがいいのよね」

 あーちゃんの行動があの客になんらかの因果関係を持つとは到底思えないのだが。

 女性陣3人が並んで座り、それに向かい合う男性陣は、当然それぞれの彼氏&下僕になる。

「なんで俺だけ下僕なんだよ!」

「あのなあ馬場、あーちゃんは彼氏を下僕として扱うんだぞ。赤の他人の俺ですら下僕に近い扱いを受けているんだからな」

「なんで赤の他人よ! 同級生でしょ」

 何? そこは否定するけど下僕扱いは否定しないっておかしくないか?
 
< 297 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop