ブルー・フィールド
ホームルームが終われば、この日の予定は全て終了。
他のクラスメイトは知り合いがいるんだろう、何人かのグループで集まっているが、俺は当然一人きり。
べ、別に寂しくなんかないんだからね! っと一人ツンデレをしてみたが、虚しい。
そんなヒマがあるならとっとと帰るか、と帰り支度をしていると
「ねえ、浅野君?」
と人を呼ぶのに疑問形な女の子の声。
振り向くと声の主は寺尾由美だった。
俺からみると大概の女の子はちびっ子になるんだが、一際小さい。
俺のあご下だから、多分150cmないな。
「えっと、何だった?」
基本的に人見知りをする訳ではないが、とは言えいきなり打ち解ける程の社交性もない。
「浅野君って、あの浅野君だよね?」
あのってどの?
「スマンがもしかして俺を知っているのか?」
知っているから話し掛けてきたんだろうが、こんなに可愛い女の子、俺が忘れるか?
「え? ゴメン。そうだよね。私の事なんて、覚えてないよね」
そう言って寂しそうな眼をする。
うーん、男として女の子を寂しがらせるのはよくないが、かと言って知らないものは知らないし。
何と答えればいいんだ?
「由美! 何やってんの?」
とそこへ女の子が寺尾に声を掛けてきた。
「あ、あーちゃん。何でもないよ」
寺尾にあーちゃんと呼ばれた女の子は……誰だっけ?
ちびっ子の寺尾と同じくらいのちびっ子。
胸まで伸ばしたストレートの髪を少し抜いているか? 軽く茶髪っぽい。
クリッとした眼よりも、八重歯が印象的な女の子だな。
はいいが、名前は何だっけ? 覚えてない。
「ふーん、そう?」
あーちゃんはそう言って俺をチラッと見る。
「まあいいけど。それより先輩達待ってるから、早く行こ」
あーちゃんにそう急かされて、寺尾もそのまま教室を出て行った。
一体何なのか理解できないが。
まあ同じクラスだし、その内分かるだろう、と流しておくのが無難だな。