ブルー・フィールド
 
「おまちどおさまっと」

 玄関を出たところで待っていた中学からの同級生、木田と落ち合う。

「おっせーよ。ちゃっちゃと帰ろうぜ」

 木田とは中学の2、3年に同じクラスで、何かと話が合う。

「スマンな。なんせ教室が遠くてな」

「ば・か・や・ろ・う。玄関までは同じ距離だろ」

 うん、玄関は俺の1組と木田の8組の中間にあるんだったな。

「で、どうよ?」

 歩き出した木田に尋ねられたが

「まだ顔合わせもロクに終わってないからな。どんな奴らがいるのか分からんし、何とも言えん」

 初日の感想なんてのは誰でも似た様なものだろう。

「そっかあ? でも聞いたぜ。1組は選抜クラスらしいぞ」

 はて? 選抜? 甲子園はもう終わったが。

「ほれ、ここってどっちかって言ったら進学校だろ。で、入試の成績の上位で選抜クラス作るらしいぞ」

 成る程、言われてみれば、新入生代表の挨拶をした……誰だかさんがいたようだったが。

 しかし俺が選抜クラス?

 念能力でも身につかない限り有り得ない話だが。

「というか、どこからそんな情報を手に入れたんだ?」

 そもそもそんな話を知っている、木田の情報源に興味がある。

「ああ、席が隣になった女の子がこれまた可愛い子でな。その子に聞いた」

 木田が言うんだ、それだけでは済まないのは中学時代からの付き合いにはよく分かる。

「当然?」

「ああ。メアドGET!」

 こういう方面では選抜されてもおかしくない、もっと言えば、甲子園優勝クラスに優秀な奴なんだが。

 そんな話をしながら、校門から歩いて5分の私鉄駅に着く。

 駅から近いのも、この学校を選んだ理由の一つでもある。

 駅前の駄菓子屋で、俺は缶コーヒー、木田はチュッパチャップス〜林檎味〜を買い、ホームに上がった。
 


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