ブルー・フィールド
まあ条件付きながらも寺尾の機嫌は取れたから良しとするか。
よし! 授業、授業。
一時間目…数学
コンビニのレジでお釣り間違い指摘できるから大丈夫だろ、寝よ。
二時間目…現国
日常会話には不便してないから大丈夫、寝よ。
三時間目…社会・日本史
大河ドラマ見れば大丈夫だろ、寝よ。
四時間目…英語
海外行く前にやれば大丈夫だろ、寝よ。
という事で昼休みだ。
「あー、よく寝た」
「浅野君、ずっと寝てたね」
昼飯は村山と一緒に食うのが基本になっている。
別に他の友達がいない訳じゃなく、まあ流れだ。
「だが、普通のパターンなら、村山は瀬戸先輩と『あーん』しながらの昼メシなんじゃないか?」
「そ、そんな……」
と照れる村山には構わず弁当を取り出す。
「浅野君。飲み物買いに行きましょ」
あ、寝過ぎで忘れてた。
「はーい。んなら行きますか」
忘れてたとは思われない様にポーカーフェイスを気取ってみるが
「あれ? 何でお弁当開いてるのかな?」
あーちゃんは、そういうとこには容赦無く突っ込んでくる。
「まさか忘れてた、とか言わないよね?」
バレバレだが、そこを上手くかわさなければ、飲み物どころか、デザートやおやつまで要求されかねないな。
「いや、寝ぼけてて、手が自然と弁当を開いてしまった。あれだ、パブロフの犬みたいなもんだ」
これなら大丈夫だろ。
「浅野君、また寝てたの? 期末も赤点とっちゃうよ?」
「あーちゃん! そんな事、教室中に聞こえる様な大声で言わない!」
「大丈夫。クラス中、浅野君が勉強できないの、知ってるから」
いや、たしかにそれはそうなんだが。
「あーちゃん、あんまり言っちゃ可哀相だよ」
寺尾がフォローしてくれるが
「浅野君も気にしないで。勉強はできなくても、水泳はできるんだから」
フォローになってないだろ、それ。