ブルー・フィールド
 
 そんな感じで、大会までの期間、ハードな練習が繰り返される。

 800mフリーに初参加になるバッタの100mという、近年稀に見るハードな選択をされ、俺の体力は結構限界。

「浅野君、頑張ってるね」

 隣のコースで泳ぐ寺尾に声を掛けられた。

「つーかさ、何で寺尾は普通にフリーの100と200に出れるんだ?」

 女子には3年の立花、2年の飯島&三村の各先輩と3人もフリー選手が居る。

 フリーの長距離には400mもあり、これくらいならまず普通に泳げる。

 その上は800mだから、さすがに無いだろうけど。

 100、200、400で参加枠は、各2人ずつなら、計6枠。

 二、三年生で6枠が埋まる計算になる。

 しかし、寺尾は100と200のフリーに出られるんだよな。

「そんな事いわれても〜」

 ちょっといじけた寺尾さん、そんな姿も可愛いかも。

 ……って俺はS属性は無いはずだが。

「寺尾ちゃんは期待のホープだからね。いいのよ」

 伊藤部長はそう言うが、期待とホープは同意語ですよ?

「うるさい! 英語はちょっと苦手なの!」

 いやいや、中学レベルの英語じゃないですか。


 そんなこんなで大会前日。

 前日だからって軽く流す程度で済ませられるのは他の部員のみ。

「浅野はまだタイム出てないから、今日も通常メニュー」

と鬼の様な先生の指令の元、一生懸命泳ぎました。

 何で俺ばっかり。
 
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