ブルー・フィールド
『位置について
よーい……』
審判の手が上がり、飛び込み姿勢を取る。
クラウチングスタートは確かに有利だが、個人的には不安定で好きになれない。
けど使わないと藤木先生に説教部屋へ拉致されるから使うが。
『パーン!』
一斉にスタート。隣の2コースがややフライングに見えたがスルーされたっぽい。
45校参加の2組目。単純に8で割ると6組ができて1組目が5校分になるが、そこはそれ。
1組目が6校、この2組目は7校に振り分けられている。
女子はちょうど割り切れる、40校参加だったらしい。
人数が少ないから、と特に何か変わる訳ではなく、とにかく自分のレースをするだけ。
バッタが嫌とか、長距離が嫌とかじゃなく、やはり中学時代に慣れ親しんだ100mフリーは気合いが違う。
誰かに見せ付けるとかではなく、自分の中できちんと泳がねば、との自己責任感が働く。
とは言え、最初の50mまでは体も軽く問題無かったんだが、疲れが残っているんだろう、ターンをする頃には既に疲労が出てきていた。
まいったな。2コースとはある程度の差を付けたものの、反対側、4コースとはほとんど同体。
この後のメンバーを考えると、4コースを突き放して引き継ぎしたいんだけど。
いくらこちらがシュミレーションしたところで、相手があるやつだから簡単にいくもんじゃない。
てか、シュミレーションもなにも、2コースや4コース、いや、一緒の組全コース、何処の学校でどんなタイムの選手かは知らない。
何でかって? それは野郎に興味は無いから。
なんとか突き離そうとしながらも諦めない4コース。こストーカーめ!どうせなら可愛い女の子にストー……あ、考え終わる前にタッチ板に着いちゃった。
当然ながら第二泳者の村山が俺の頭の上を飛び越えていく。
リレーには慣れているし、当然過去に何度も飛び越えられているが……相手が村山だというのが気分悪い。
と村山をけなしてみても、反応が無いからつまらない。