ブルー・フィールド
 
 ホームルームも終わり、村山と二人で水泳部を見学しに行く。

 プールは校舎から少し離れていて、校庭を突っ切った先の南の端にある。

 以前は校舎の北側にあり、部室も他の部と同じ、校舎の北にある部室棟の中にあったらしい。

 ただ学校自体が中国四千年ほどではないにしろ、歴史だけはあり、プールもそれなりに古かった為、5年程前に建て替えたらしい。

 その時に隣接する総合病院の駐車場が狭い、との問題を一気に解決する為、南側へと移動した、と古文書に記してあった。

「浅野君、古文書とか読めるんだ。すごいね」

 いや、ツッコミどこはそこじゃないんだが。

 ポーネグリフとか言い出さないのは、多分村山はバトルマンガよりも、萌えマンガが好きなんだろうな。

 野球部の横を通り、テニスコートの脇を過ぎた所で、目指すプールが見えてきた。

 さすがに新しいと言うだけのことはあり、更衣室は鉄筋コンクリートかな?

 中央にプールサイドへの昇り口があり、プールに付き物の消毒槽やシャワーが見える。

「噂通り、立派なプールだな」

「そうだね。やっぱり中学とは違うね」

「確かに。うちの部室は倉庫を改造しただけの木造だったからな」

「それはヒドイね。けどうちも似たようなものかな。プレハブだったからね」

 二人とも不遇な中学時代をおくったんだな。

「けど、北中って強豪だったよね? それなのにそんなヒドイ部室だったの?」

「ん? 村山は北中水泳部を知っているのか?」

 俺は第三中学は知っていたが、水泳部のレベルとかは知らない。

 一緒のレースをした、という村山がいたのすら覚えていないんだから。

「知っているも何も、市大会、地区大会、新人戦と出る大会全部で団体優勝してたし!」

 まあそう言われればそうなんだが。

 強豪校だからと言っても所詮は公立中学。

 各設備にはあまり金をかけてもらえなかったみたいだ。
 


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