ブルー・フィールド
 
 マックの策略なのは分かっているが……あの笑顔は反則、いや販促だから反則じゃない、いやいや、販促だから反則でも良いのか?

「ほら、早くこっちの分も払って」

 俺が思考の迷宮に陥っているところに、あーちゃんからの指令が聞こえてきた。

「はい、1350円、早く」

 これに俺のダブルチー(ryを合わせると2000円かよ。きっついな。

「お待たせいたしました。ダブルチーズバーガーLサイズセットになります」

 いいさ、このお姉さんのスマイルを買ったと思えば。


 2階席に到着したが、ガラガラじゃないか。

 窓際にバカップルっぽい男女が居るが、あとは空席。

「ここでいい?」

 3人分のハッピーセットを乗せた、お祭り状態のトレーを持つ村山は、さすがに絵になる。

「もっとあっちにしよ」

 あーちゃんが指差したのは、角も角、階段から一番奥にあたる席だ。

 席順は、一番奥に寺尾、隣があーちゃん。

 あーちゃんの前に村山が座り、その隣に俺。

 当事者同士は対面になるのは当たり前だが、目の前にあるハッピーセットのプリキュアが違和感なんだが。

「それで? 何の用なの?」

 あーちゃんがカップにストローを挿しながら聞いてくる。

 もしかして、食べながら話をするのか?

「何の用って、まああれだ。仲直りしようと思って」

 俺は何も悪く無い気もするが、そう言っても通じないだろう。

「別に仲良くしてもらわなくてもいいもん! 純子ちゃんと仲良くしてればいいでしょ!」

 おいおい、拗ねてるのか不貞腐れているのか、それとも怒ってるのか?

「あのですね、寺尾さ……」

「あの子は一体何な訳?!」

 だからあーちゃん、俺に最後まで喋らせてって。

「あいつはほれ、大塚純子で、中学の水泳部の同期、ってだけだ。あと、三年の時は同じクラスだったが」

「それだけであんなにべたべたしてくるの? おかしいでしょ?」

 あーちゃんの言う事も分かるが、説明しにくいんだよね。
 
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