公認ストーカー
即答すると、紀田くんは笑った。
困ったように、笑った。
ああ、私はこの人のこの表情に惹かれたんだろうな、と思った。
眉を少し下げ、優しげに目を細める。
心の内でどう思われていようと、この笑顔を向けてくれるなら、私はいつまでも紀田くんを好きでいられる気がしている。
「あ、紀田さん居た…今日の部活……って、またアンタかよ! ストーカー女!」
見慣れたふさふさの頭を掻きながら、こちらに向かってくる一人の生徒。
それは私に視線を留めると、あからさまに眉を顰めた。
その男は私の後輩で、同時に紀田くんの後輩でもある、山原徹。
紀田くんが入ってる部活、サッカー部の後輩らしい。