ねぇ、笑って。
「薬は病気の進行を遅らせるだけ、それも段々と効かなくなっていく。どんなに頑張っても、1ヶ月が限界。」
目に涙をうっすらと浮かべながら続けた。
「あの子に訳を聞いてみたのよ。それで出てきたのがあなたの名前。あなたに会って話がしてみたいからなんて…。」
あなたと話すようになってからのことも、色々と話してくれた。それで、携帯の番号を知っていたのよ。なんて言って、力ない笑みを残した。
405号室。その前で千鶴の姉貴は立ち止まった。
「ここが、千鶴の病室。千鶴は病気なのを隠していたみたいだけど、最後にあなたに会わせてあげたくて。会ってあげて。」
千鶴の姉貴はゆっくりとドアを開けた。
まるで、怯えているかのように。