ねぇ、笑って。
がたんっ
千鶴の姉貴は一緒には入ってこなかった。
やっぱり、怯えているのかもしれない。
もし、入ったときに息をしていなかったらって。
そんなことを考えていたのは、俺も、怖かったから。
現実感がなかった。
確かに、千鶴と会ってから俺は変わった。
でも、なんで千鶴は俺を最後の1ヶ月に選んだ?
何もしてやらなかった俺を…。
「千…鶴……?」
千鶴は眠っていた。静かに、ただただ静かに。
でも呼吸はしている。そのことに、俺はほっと胸をなでおろした。
歩み寄って、千鶴の手を触ってみた。
だが、すぐに手を離した。
だって千鶴が本当に病気だと思い知ったから。
千鶴が思っていたより冷たかったから。