ねぇ、笑って。
手紙

何となく、その場にいることが嫌になってそっと病室から出た。


俺に気づいた千鶴の姉貴が、こっちに歩み寄ってくる。



「千鶴、私が勝手なことをして怒ってた?」



「寝てた。」と返したら、少しほっとしたような、よく分からない表情を浮かべた。




「これ。」



千鶴の姉貴は俺に、一つの封筒を手渡した。


白くてかわいらしい。女の子がもってそうな封筒。



「何ですか、これ?」




「千鶴の机の上にあったの。裏にあなたの名前が書いてあったから。」




「千鶴、もう起きれないかもしれないし。」かすかに震えた声は、千鶴の姉貴の悲しみの深さを表しているかのようだった。


 
< 51 / 74 >

この作品をシェア

pagetop