ねぇ、笑って。
手紙
何となく、その場にいることが嫌になってそっと病室から出た。
俺に気づいた千鶴の姉貴が、こっちに歩み寄ってくる。
「千鶴、私が勝手なことをして怒ってた?」
「寝てた。」と返したら、少しほっとしたような、よく分からない表情を浮かべた。
「これ。」
千鶴の姉貴は俺に、一つの封筒を手渡した。
白くてかわいらしい。女の子がもってそうな封筒。
「何ですか、これ?」
「千鶴の机の上にあったの。裏にあなたの名前が書いてあったから。」
「千鶴、もう起きれないかもしれないし。」かすかに震えた声は、千鶴の姉貴の悲しみの深さを表しているかのようだった。