家に住みついた猫男
◇恐ろしい部屋の影
私しか乗っていないエレベーターの中、
「はぁ」
と言う私のため息だけが聞こえる。
いや、本当なら加賀君にお茶を一杯出す位はしようと思うんだけど...
あの物置のような素晴らしく汚い部屋には誰も入れたくないし...ね。
そしてエレベーターが私の階に止まった頃、
少しだけ酔いが覚めたのか、頭が痛くなってきた。
...明日、仕事休みでよかった...
軽い鍵を取り出し、玄間の扉の穴に差し込む。
.....?
...あれ?
鍵を回そうとするが、いつもと違って開けた感じがしない。
...鍵、閉め忘れちゃったかな...?
まあ...、このマンション新しいから大丈夫だよね。
そんな変な言い訳で解釈する。
「ただいまーーーー」
実家に居たときの癖か、毎回"行ってきます"と"ただいま"は言ってしまう。