空の歌声

桃色の髪を靡かせて
町を眺めている



2年経ったせいか
少し大人びて見える





「町はあいかわらずねぇ」



彼女は独り言を
呟きながら
町を眺めている







彼女…シェラ・フロエバンス
はあの後消滅
したはずだった



だが彼女の持つフィルネ
から聖霊が現れた




『我わはフィルネに
宿る空の聖霊なり』





聖霊は形を留めず
光となり話をする






『フィルネは聖霊の
命そのもの
そして汝らの歌声は
我らとの通心の役割なのだ
汝を我わはずっと
見てきた…

清き人の子よ…
汝は聖霊の理を知った
我らとの疎通者に
なってはくれぬか…』





疎通者………




私が貴女達の意志を
伝える者になれと…?




『お前にしか出来ない
これは役目なのだ
天駆ける天使よ』





私にしか出来ない…



でも私はもう…
死んでいるのですよ?





『もう一度身体をやろう
ただし地上に着いたら
沢山働いてもらうぞ』




もちろんですよ





例え会えなくても
同じ空に生きる事が
出来るから…







『シェラ…
お前の願い…叶うであろう』






最後の聖霊の言葉は
あまり聞こえなかった







< 246 / 252 >

この作品をシェア

pagetop