SEASONS
「ホントだよね。どんな人がいるのか全然見えなかった」

さっきの女の子の視線を思い出して、つい声が小さくなる。


「わたしが来た時にはもう、こうだったの」

「へぇ……」


ほとんどが女子だから、きっと男子なんだろうなぁ。



……なんて思っていたその時、教室の前のドアが開いた。


「席に着けー!」

プリントを抱えたお父さんくらいの年齢の人が教室に入って来た。


また後でね、なんて言いながら、前の席を囲んでいた女の子達のほとんどが教室から出て行った。



──他のクラスの子だったんだ。
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