SEASONS
取り囲んでいた女の子達がいなくなって、ようやく見えた姿。


明るい色でふわふわした少し長めの髪。

窓の外を眺めるように頬杖をついた横顔。



──あ、れ?


この人……。



「これから講堂に移動するぞー」

担任の言葉がどこか遠くから聞こえる気がする。


この人、さっき木のかげで……。


「どうしたの? 行こう?」

横から優香子に袖を引っ張られて我に返った。


「え? あ、うん……」

彼に背中を向ける瞬間──目が合った。


「……」


あの時のようにふわりと微笑んで、それからダルそうに教室を出て行った。
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