SEASONS
昨日、メールで確認したら10時で大丈夫だって言われたから、あたしは少し前に着くように家を出た。
それなのに、福嶋さんはもう待ち合わせの駅前にいた。
「ごめんなさいっ」
「まだ時間前だし。映画の時も謝ってたよね」
福嶋さんは思い出したのか小さく肩を揺らした。
「だって……」
待たせちゃったのには変わりないし……。
「オレが早く着いちゃったんだから気にしなくていいんだよ。それより行こうか」
「はい」
──その時、さりげなく、本当にさりげなく手を握られた。
「!」