SEASONS
鍵は開いているけど先生はいないみたいだった。


「勝手に使いまーす」

独り言のようにそう言って、アイツはようやくあたしの手を離した。


「座って」

丸イスをあごで差して薬品棚をあさり出す。


「なん、で……」

「消毒するからに決まってんだろ」


「……平気だってば。ちょっと切っただけだし」

「いいから座れ」


「……」


威嚇するような低い声に、しぶしぶ丸イスに座った。
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