SEASONS
何か……怒ってる?



消毒液とコットンの入った瓶を取り出して、向かい合うように座った。


「手」

「……」


無言で差し出すと、消毒液を染み込ませたコットンを傷口にあてた。


「……っ」

思っているよりも深く切ってたみたい。


「痛い?」

「……平気」


顔を上げると、あたしの指先に真剣な眼差しを向けている。



──あの時。


こんな風に手当てしてあげれば良かった。

あたしをかばって出来た傷だったのに。
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