SEASONS
覗き込むように角度を変えた時、相手の顔が見えた。


視線は真っ直ぐ目の前の彼女を見ていて、あたしには気づいていない。



あたしは無意識のうちにその場から──走り出した。





走り出した瞬間に音を立てたかもしれない。

でも今はそんなことまで考えていられなかった。



胸がうずく。

息が苦しい。



ドンッ

「!?」


ただがむしゃらに走っていたら、誰かにぶつかってしまった。


「ご、ごめ……」
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