SEASONS
息を整えていたら、もうすぐ沈みそうな夕日を背にした大野くんがあたしを見ていた。



「泣きそうな顔、してた」

「……」



自分ではそんなつもりなかったのに。


そう言われた途端、温かいものが頬を伝った。


涙と一緒に出てくるのは、さっきのアイツの姿。


顔は見えなかったけど、キスしてた相手はきっと、あの赤い車の……。




「何があった?」


「……ごめん、何でもな……」


両手で顔を覆う瞬間、大野くんの苦しげな表情が見えた。
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