SEASONS


相変わらず、図書室には誰も来ない。

本当にみんなここを知らないんじゃないかって思ってしまう。



カウンターにカバンと鍵を置いて、書架を指でなぞりながら奥へ進んでいく。


一番奥まで来た時、あたしは左側を見た。

行き止まりになっているだけで何もない。


大野くんとキスした場所だ。


アイツにそれを目撃された場所でもある。



今度は右側を見た。

初めて図書室に来た時と同じ場所に階段式の踏み台がある。



……アイツに初めて抱き締められた場所。




あたしは無意識に足を動かした。
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