SEASONS
「……じゃ、先に行くよ」


その言葉に黙ってうなずいて、あたしから大野くんに背中を向けた。


視界から消えた瞬間、我慢していた涙が頬を伝って落ちた。


だけど声が漏れないように唇は噛んだまま。


遠ざかる足音が聞こえなくなってから振り返ると、真っ直ぐな道を歩く大野くんの背中が小さく見えた。



「な、んで……」


どうして……。
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