SEASONS


気がつけば街灯が灯り始める時間になっていた。


あたしは家に帰る気になれなくて、そのまま公園のベンチに座っていた。


隣りに置いたカバンが少しだけ膨らんでいるのは、渡せなかった大野くんへのプレゼントが入ったままだから。





あたしは大野くんを見てる。

なのに、どうして大野くんはあんなことを言ったんだろう。



優しくて穏やかにあたしを包んでくれる大野くん。


最初は確かに忘れるためだったかもしれない。

まだ完全に追い出せていないのもわかってる。



だけど……。




「──何、してんの?」
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