SEASONS
大野くんはドアを閉めて、そのままそこにいた。

あたしはテーブルの前に立っていて、距離はあるけど真正面で向き合っている。




「成海」

「……」


あたしはそれだけで胸が苦しくなった。


二人きりなのにもう、名前では呼んでくれないんだね。


それが、話の全てを物語っていた。





「別れよう」

「……どうして?」


本当はわかってるのに思わずこの言葉が出た。




「オレはもう、苦しい思いはしたくない。無理なんだ」

「大野くん……」
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