SEASONS
あたしの勝手な思い込みかもしれないけど。

“ごめん”には色んな意味が込められているような気がした。


“頑張れなくてごめん”

“忘れさせてあげられなくてごめん”



……本当はあたしが言わなきゃいけないのに。



「じゃあ、行くよ」



大野くんの背中がドアの向こうに消えた時、あふれた涙がこぼれ落ちた。





大野くんのことは好きだった。

だけど、アイツを心の中から追い出すことが出来なかった。

大切にしてくれた人を、あたしは裏切った。



「ごめん……」


誰もいない図書室に、あたしの小さな声が吸い込まれた。


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