SEASONS
そんな二人を乗せた電車のドアが閉まり、ゆっくりと走り出す。



あたしはいまだに状況が飲み込めなくて、動けないままボーゼンと電車を見送った。



「!?」


カバンの中で鳴り響く着信音に肩が跳ね上がった。



「ちょっ……離して、よ……」



あたしを抱き締めたまま肩で息をしている背中を叩いた。

だけどピクリともしない。


……こんな必死なところ、初めて見た……。



「あ……」
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