SEASONS
離してくれない間に着信音が切れ、またすぐに鳴り出す。



「ね、ねぇ……。多分親だと思うし、ビックリしてるんだと思うし……ね?」


そう言うと、あたしはようやく解放された。


「も……」

『彩!! 大丈夫かっ!? さっきの男は何だ!?』


今度は切れる前に出られた、と思ったら、相手はやっぱりお父さんで。

“もしもし”を言うよりも先に大きな声で言われた思わず耳から遠ざけてしまった。



『もしもし、彩?』

再び耳にあてると、今度はお母さんの声がした。
< 294 / 304 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop