SEASONS
「……」



抱き締められた腕からは、アイツの熱と本気が伝わって来た。

多分、それが徳永の精一杯の告白なんだと思った。



好きだとは言わない。

もちろん愛してるなんてことも。


わかりやすい言葉はくれないのに気持ちが伝わってしまうのは、あたしも同じ気持ちだから、なのかな。




「──しょうがないな」

「え?」



「アンタのそばに、いてあげてもいいよ」

顔を上げてニヤリと笑ってアイツを見た。


徳永は一瞬驚いた顔をしたけど、すぐあたしと同じように笑った。



「生意気」

「どっちが」




そう言って笑い合って──どちらからともなく顔を寄せた。


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