SEASONS
「あっ……あ……」


あれは違う、って言いたいのに。

声が出なくて口をパクパクさせることしか出来ない。


「式の時も見てたよね。背中に穴が開きそうなほど、熱烈に」

「……」


声がうまく出ないから、ブンブンと首を横に振った。



「俺、来る者は拒まないよ」

ふわりと微笑むと、アイツは流れるような仕草であたしのあごに指をかけた。


あたしはイヤだ。

彼女がいるくせに、誰とでもこんなことするような男は絶対イヤ。



だけど……。
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