SEASONS
「追い詰められるの好きなの?」

「違うし!」

「俺のこと好きだから見てたんじゃないの?」

「違うってば!」


アイツは書架に腕を突き立ててあたしを囲い込んだ。


……さっき見たばかりの光景だ。



「あ……アンタなんか……好きじゃない! 好きになんてならない!」

大きな声を出したせいか、じんわりと涙が浮かんできた。


だけど、そんな目でもあたしは精一杯睨みつけた。



「……涙目でそんなこと言っても、逆効果だって知ってる?」


腕の長さ分しかない距離で、アイツはきれいな顔で笑った。
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