SEASONS

「送るよ」


聞こえた言葉に、あたしは横に首を振った。


「いい」

「駅までは?」

「いいってば」


職員室に鍵を返そうと歩き出すと、同じ速度で追いかけてくる足音。


「鍵返すだけだし、もう帰ってもいいよ」

「俺も一応係だし」

「……」


これ以上言ってもしょうがないと思って、あたしはそのまま歩き出した。



鍵を返してアイツの顔を見ることもなく昇降口に着くと、


「……あ」
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